此花の工作所
Studio in Konohana
オフィス・スタジオ
新たな挑戦にかける想いをかたちに
新しい素材、新しい挑戦
林業で廃棄される間伐材を原料とした新素材の強化段ボールによって、環境に配慮した仮設工作物(イベントブース等)をデザイン・制作すること、それが建て主である会社がこの建物で展開しようとする新規事業である。敷地は会社社長の母校である中学校の向かいに位置しており、建物は1階が工作スタジオ、2階がデザインオフィスとなっている。
4本の柱
古代日本では人がその地で生きると決めたとき、まずその場所に2本ないし4本の木の柱を立てた。その柱が屋根を支え、雨風を凌ぐ内部空間が生まれた。内部空間に壁はなく、あるのは柱のみ。竪穴式住居が生まれる瞬間である。1階の工作スタジオに立つ4本の柱は建物を物理的に支えるだけではなく、会社がこの地で新たな挑戦をしようとする意志の表象として計画した。
チーム一丸となるために
4本の柱は2階の屋根まで伸び、方形の屋根が傘のようにして建物全体を包み込んでいる。制作で扱う強化段ボールの性質上、直射日光があまり差し込まないように1階工作スタジオの窓は最低限にとどめ、トップライトからの間接光によって明るさを確保している。方形の屋根とトップライト、そしてその光道となる建物中央の吹き抜けを掛け合わせることで、働くスタッフの方たちが一つのチームとして一体感を感じられることを目指した。
木造と白い外皮
強化段ボールはプリントが可能な白いシートで段ボールがサンドイッチされている(写真末尾)。まだ日本では導入例の少ない新素材の、文字通り広告塔になるべく、強化段ボールの素材の構成を模して、建物の架構は木造としそれを覆う外皮(外壁)は白を基調とした。
街とつながる
敷地の前は会社社長の母校の通学路となっている。環境に配慮したモノづくりは若い世代へも受け継がれるべき社会テーマであると考え、建物北側の日差しの入りにくい場所に街と繋がる大きな窓を設け、工作スタジオ内の制作風景を街に開放することとした。
これから始まる新たな挑戦を、この建築を通して支えていきたいと思う。
建築場所 | 大阪府大阪市此花区
用 途 | オフィス、スタジオ
工事種別 | 新築工事
構 造 | 木造2階建て
構造設計 | U'plan 濵本千明
施 工 | ヴィーコ 太田貴之
撮 影 | 笹の倉舎 笹倉洋平