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三浦海岸の農家

Farmer's house near Miura coast

二世帯住宅

自然と向き合い続ける農家

地勢に富む土地

三浦大根の生産地としてその名を知られる三浦市は、東は東京湾、西は相模湾に挟まれる神奈川県は三浦半島の南端に位置する。三浦市東部にある築100年以上のこの農家は、背面に樹々が茂る崖を背負い、目の前には自らが代々耕す広大な畑が広がり、そのすぐ先には東京湾を形成する海岸線が伸びる場所に立っている。

 

「 大きな窓はいらない 」

改修の計画を始める前年、観測史上最強クラスの台風が関東地方を襲い、三浦市内も大きな被害を受けた。建て主は命の危険さえ感じたという。脅威的な台風は近年増えてきており、「 大きな窓はいらない 」というのが計画初期からのご家族の要望だった。窓がもたらすのは気持ちの良い日差しや涼風ばかりではない。暴風雨の時には風雨の他に飛来物、日常では畑からの土埃、海からの潮風、背面の崖からは湿気が入り込んでくる。そのような自然と向き合ってこの農家は立っている。

家が建って100年が経ち、気候は変動しライフスタイルも変化している。今回の改修ではそれらに応えるために従前では大きかった窓をあえて絞る計画を行った。

 

障子がつくる「 緩衝空間 」

窓を絞ったことで単に閉鎖的な家になった訳ではない。自然の恵みを最大限取り入れるために、建物の開口部、特に建物が自然と直面する建物正面の開口部は特別な配慮を払った。

陽光、風、雨、土埃、湿気、冷気、熱気、そして飛来物までをも受け止める開口部は、屋外側から 雨戸 / サッシ / ロールスクリーン / サンルーム / 障子の5つのレイヤーを重ねて配置し、季節やその日の天気、時間帯などに合わせて安心で快適な内部空間を住人自身がつくり出せるように計画した。特に障子と外壁との間に挟まれるサンルームは室内の温熱環境を調整する緩衝空間として機能し、洗濯物を干す場所としても使われる。

 

「 家 」を力付ける

「農家」とは住居のことを意味すると同時に、そこで行われる生業のことも意味する。また、「家」とは住居のことを意味すると同時に、一族血縁のことも意味する。ときには象徴のような存在となることもある。100年以上の年月を経て一部が朽ちかけていたこの農家をこれからを生きるために改修し再生させたことが、ご家族を、そして生業である農業をより一層力付けることとなってくれたら設計者として冥利に尽きる。

建築場所:神奈川県三浦市

用  途:個人住宅(二世帯住宅)

工事種別:改修工事

構  造:木造2階建て

構造設計:柳室純構造設計 柳室純

施  工:斎藤工務店 篠崎三郎、片柳和男

撮  影:笹の倉舎 笹倉洋平

     大庭徹建築計画(改修前と右下に*印のある写真)

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